題肢セットのいろいろ⑬現状と、前提や原因

現状に至った理由を求めて前提や原因を詮索すると、「ああでもない・こうでもない」という事態になる。「題肢セットのいろいろ」の最後にとりあげるのは、そのような題肢セットのことだ。

例1: 題:空が青い、理由は?
1:冬だから
2:放射冷却が起きたから
3:台風一過だから
4:風が強いから
5:白鳥が染まずに漂うため
6:青の波長の光のほうが透過しやすいから

題の後ろに「その理由は?」「その前提は?」「その原因は?」をつけると、このタイプの題肢セットができる。 「問題を解決したいが手掛かりをみつけられないときは、まず、この題肢セットを設定するところから始める」という手をやってみるとよい。5と6のように、詩人が好むものと科学者が好むものが混在して何だか趣旨が混乱してしまうこともあるが、せせこましく制限するよりはいいのではないか。 問いかけるだけで理由や原因が見つかるほどたやすい課題ばかりではない。 だが、手ごわい課題も「揉みほぐす」ことからはじめれば何とか道筋が見え始めるものだ。

現状の事態が起きた理由を列挙するという作業は、対象を認知し思考するという作業だ。過去に向かって経緯をさかのぼるという事実認定の作業でもある。

このタイプの題肢セットでは、唯一の絞り込まれた根本原因を肢として仮構できるものもあるが、それができずに、中間的な事象を仮構した状態で見出されるものが、むしろ、多いようだ。それらは中途半端で未完成なのではなく、未固定であるだけだ。 未固定というのは、 ・原因が特定できない ・原因や理由について、どちらともいえる。どちらもありうる という状態のことだ。

例2: 題:こんなことになってしまった責任は?
1:担当者が悪い
2:担当者の上司が無理強いしたのが悪い
3:現状にあわない制度が悪い
4:予算がないのが悪い
5:下請けが悪い
6:最初はこれでいいといったのはあんたじゃないか!

しゃきしゃき★アンサーで題肢セットを分野に分けているが、分野の一つに「論争」を立てている。 論争の多くは、「現状に至った原因についての見解が異なる」ことから始まり、ときには、皆がうんざりする「諸説ふんぷん」の状態にいたることもあるが、諸説の中には真実を言い当てているものがあるかもしれず、そういう意味では、ふんぷんたる諸説も選択肢そのものでもある。不毛な選択肢ばかりのものもできかねない。

原因分析や現状分析を的確に行えたときは、多様な選択肢の中から一つだけが残る。 が、現状に対して唯一の原因しかないということはむしろ例外的で、トリガーとなる起因はひとつでも、現状にいたるまでに「悪いことが重なるもので、、、」という二次的三次的な因や経緯が複合してくる。

Aという事態にBという事態がくわわったために、今のCという事態に至っているということであれば、そういうAとBの複合を指摘できる個所とは、もし複合が起きなければという別の事態との分岐場所でもある。Bとの複合がなければCという現状もないといえる可能性があるなら、Bを複合するかしないかを主体が自分の意思で選びうる性質のものでなくても、そのもっと昔の段階でBがそもそも生起することを断ち切っていれば、Cは起こりえなかったのではないか、ということになる。 目配りをきかせた、あらゆる可能性うを見落とさないゾという姿勢は、題肢セットに欠かせない。 ただし、「今の私の現状は、祖父と祖母が父を生み、その父と母が私を生んだことにある」といった類の、飛躍した見解ばかりでは、人を納得させることはできない。

例3: 題:上流でダムが放水して川が氾濫した、どうしてくれる?
1:ダムの人:異常な降雨量で、ダムの決壊をさけるためです。ダム決壊なら住民全滅だ。いまは一部の洪水被害で済んだ。責任を問われるすじあいの話ではありません。
2:市長:住民に避難命令をだした。職員の全員がずぶぬれになって住民に危険を知らせてまわり、避難誘導した。最大の努力をしました。
3:地元テレビ局:危険な堤防に中継車を出してライブで危険を中継した。危険は十分みなさんに報道できたはずです。
4:地元議員:政府にかけあって激甚災害の指定をうけ、おおいに救済の金をとってきます。
5:住民:ひっこししましょう。

所長 の紹介

選択肢研究所の所長です。
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