バングラディシュ製のシャツは買わないという選択について

H&Mの店で、気に入ったシャツを買おうとして原産国をみたら、バングラディシュだったので、買うのをやめたと息子が言った。息子は、あるファストファッション企業が、バングラディシュの、14歳以下の子供を低賃金で働かせる下請け孫請け縫製工場に縫製をやらせていて、こどもたちは学校にいけないばかりか、その労働環境たるやそりゃひどんもんだ!というフランスのドキュメンタリーをみたので、バングラデシュ製ということはH&Mだろうがユニクロだろうが2次3次の下請けをつかって自分は知らんぷりということはおんなじだろうから、買う気にならない、というのが息子の言い分であった。

アフリカ、コートジボワールのカカオ農園で子供が労働搾取されている現状をリポートしたBBCのドキュメンタリーを見れば、息子は大好きなチョコレートをひどくニガク苦しい食べ物だと知るのだろう。

売られている商品を買うか買わないかの選択にあたって、性能や機能や色やデザインなどの表面的なことだけでなく、製造会社の経営スタイルや方針まで「選好関数の変数」に入ってくる時代になっている。いままでに代表的なのは、「有機農法」かどうか、「エコ」かどうか、などだ。 「エコ」かどうかのものさしでは、排気ガスがでない度合い、排水環境を悪くしないため泡がでない度合い、省エネできる度合い、など、いろいろなモノサシが共有されるようになってきている。 商品が製造される過程での企業のモラルの度合いも、指標にできれば、消費者は自分のモラル価値観にそった商品を選択できる。 安けりゃいいというレベルから、品質を問いブランドを問いライフスタイルの充足を問うレベルにまできた消費者の次の行動は、モラルを問うというレベルになるだろう。少し前の時代から、珍しく超高価だからといって絶滅危惧種の毛皮やバッグを持つようなスタイルは頭とモラルのイカレタ消費行動とみなされたように。

消費者は、バングラデシュでシャツを作っている貧しい子供たちがちゃんと学校にいけるようファストファッション企業に圧力をかけるべきだし、コートジボワールのカカオ農園でのこどもへの労働搾取に間接的に手を貸しているともいえるチョコレートの会社にも、こどもを守るよう圧力をかけるべきだ。

そういうことを志して活動している国際的なNGOはいくつかあるので、企業も、「いくら安い原価でつくりたいからと言って、そんな、アコギな作り方をしなくったって、知恵をしぼって、別の選択肢をさがせば、もっとましな方法があるはずだろ」と消費者に侮蔑的なまなざしを向けられる前に、国境を越えたメセナに取り組むことはさして困難ではないだろう

所長 の紹介

選択肢研究所の所長です。
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